老後資金
超高齢社会に突入!自分の老後は自分で守る時代へ
「老後」というと、なんとなく暗いイメージがありますが、
アメリカでは「ハッピーリタイアメント」とよく言われます。
定年後の平均余命は約30年。
現役時代に仕事をするために使ってきたのと、ほぼ同じぐらいの
時間を今度は自分のために自由に使えます。
ゆえに「ハッピーリタイアメント」と言われるのです。
一方、日本では、「老後」=暗い・・とイメージさせる現状があります。
老後の収入の糧となる公的年金の給付水準の引き下げと、
支給開始年齢の引き上げです。
日本の現行制度では、男性では昭和36年4月2日以降、
女性では昭和41年4月2日以降生まれの方は、
完全に65歳からしか年金を受け取ることはできません。
アメリカでは67歳、イギリスでは68歳までに
引き上げられる予定となっています。
日本の65歳支給開始も、もしかするともっと引き上げられることが
あってもおかしくありません。
なぜなら、日本は、世界でも例のないスピードで高齢化が進んでいるからです。
現在の日本人の平均寿命は、男性は約79歳、女性は約86歳です。
長生きをする人が増えている一方で、晩婚化・未婚化などにより出生率が低下、
子供の数が減っているので、人口に占める高齢者(65歳以上)の割合が
急増しているのです。
結果、少ない人数で高齢者を支えていくことになります。
2005年 高齢者1人あたり、3.3人で支えていたものが
2055年 高齢者1人あたり、1.3人で支えることになります。
注)15~64歳の人口を65歳以上の人口で除した数
※資料:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」
国のデータでは、15~64歳を生産年齢人口(現役世代)とみていますが、
高校生・大学生・専業主婦など無収入の人も含まれているので、
実際には、もっと厳しい状態になるでしょう!
「ハッピーリタイアメント」を実現するためには、
- 将来いくらの年金がもらえるのか?
- 老後の生活費で足りない分はどれくらいか?
- 老後はどのように暮らしたいか?
といった早目の老後設計と準備が必要ではないでしょうか。
老後の収入はどうなるの?
定年後、就労収入がなくなった後の収入源は主に3つあります。
公的年金 (国民年金) (厚生年金) (共済年金) |
退職金 企業年金 |
個人貯蓄 個人年金 |
国が準備するもの | 会社が準備するもの | 個人が準備するもの |
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高齢者世帯平均所得金額の構成
高齢者世帯の1世帯あたりの平均所得は297万円で、うち「公的年金・恩給」が7割も占めています。
資料)厚生労働省 平成21年 国民生活基礎調査の概況
公的年金・恩給を受給している高齢者世帯の総所得に占める公的年金・恩給の割合
資料)厚生労働省 平成21年 国民生活基礎調査の概況
現実、公的年金・恩給を受け取っている高齢者世帯のうち、
公的年金・恩給以外の収入がない世帯は、63.5%にもなります。
老後の収入と支出の実態はどうなっているの?
ゆとりある老後に備えるための不足額はどれくらい?
夫60歳(平均余命22年)、妻60歳(平均余命28年)の場合
<60歳から82歳まで夫婦2人、その後、妻が88歳まで1人で生活した場合>
▲65万円 X 22年 + ▲37万円 X 6年 = ▲1,652万円
(▲54,225円x 12か月) (▲30,992円 x 12か月)
生活費だけでも、約1700万円を準備しておく必要があります。
毎月の生活費の他にも、家の修理・改築費、車の買い替え、
旅行代、子供の結婚援助資金、子供の住宅取得援助資金など、
考えなくてはいけない費用があります。
夫婦2人でゆとりある老後生活を送るために必要な生活費は、月平均38.3万円です。
(生命保険文化センター「平成19年度 生活保障に関する調査」より)
夫婦2人でゆとりある老後を送るには、現状で、毎月16万円不足することになります。
<60歳から82歳まで夫婦2人ゆとりある老後を送り、
その後、妻が88歳まで1人で生活した場合>
▲192万円 X 22年 + ▲37万円 X 6年 = ▲4,446万円
(16万円×12か月) (▲30,992円×12か月)
ゆとりある老後のためには、約4,500万円を用意しておく必要があります。
※ ただし、実際どれだけの老後資金が必要になるかは、家計ごとに異なります。
何歳まで働くか?
どこに住むか?
老後は誰と暮らすか?
どんな風に日々暮らしていくのか?
などライフプランを立てることで、自分はどれくらい
準備すればよいのか具体的になります。
以上は、公的年金の現行制度でみた場合です。
もし将来、年金額が半分に減ってしまったら?
超高齢化社会が進んでいる現状を考えると、将来の年金額が
今よりも減ってしまうことが予想されます。
もしもらえる年金が半分になってしまったら・・・、
そういう場合のシミュレーションもしておく必要があると思います。
将来の不足額の準備は、早ければ早いほど対策が有効となります。
暗い老後か、「ハッピーリタイアメント」になるか、
早めに計画を立てることで解決しましょう!

ファイナンシャルプランナー
寺井雪絵